「バー火鉢」の在り方をいまいちど考えてみた

 なかなか順調な経営とは行かないバー火鉢ですが、そもそもバーと呼べるほどお酒も充実していないではないかとか、スナックにしてもママの人たらし度が足らんのではないかとか、居酒屋にするには食べ物メニューがバラエティ不足とか、どういう業態にしても中途半端な状態。客数の伸び悩みもむべなるかなです。

 店の特徴は?と問われると、やはり「炭火」なわけですが、居酒屋的な「炭火焼屋」を目指しているわけではないので、ミニ七輪の炙りものを売りにする業態が良いのかどうかは迷うところです。えっ!?そうだったの?と言われそうですが、七輪で炙ることってともするとイベント的で、イベント的ということはふらりと気軽に立ち寄るという感じでもない。私の方も炭火の着火や調節に追われて、お客さんと話をする余裕もありません。

また、回を追う毎にお品書きのメニューの数が増えて行くのに、全然充実した感じがしませんでした。これぞという決め手に欠けているからなんだと思います。ならば、食に関してはこれまでの火鉢クラブでやってきたように、旬の時期に「原木椎茸を焼く会」をやるとか、本当に美味しいものだけをセレクトした月1程度のイベントを充実させるべきなのかもしれません。日銭を稼ごうと、なんでもかんでも手を出しすぎだったのかもなあ…。

やはり、「バー火鉢」なのですし、七輪ではなく火鉢を囲むこと、火鉢のある空間を提供することが理想です。鉄瓶から上がる湯気を感じたり、そこにお燗をつけたり、火箸で灰をいじったり、そして、ちょっと干し芋やスルメを炙り、お酒を提供する場所。
 
 七輪というのはあくまで調理器具です。しかし、火鉢は暖房器具であり、インテリアであり、湯沸かしや調理器具にもなるけれど、タバコの灰皿にもなり、灰をいじるおもちゃにもなる。そういうなんだか分からない道具が作る空間ってところを本当は味わって欲しい。「熱気」や「活気」ではなく、「暖」とか「団」で表されるようなぼんやりと温かい空気〜偶然にもどちらも「だん」という音で、団は丸いものから円満を表すそうですが〜そんなまーるくて、ゆるゆる、ぼーっとできる場所にしたいです。

 隣町珈琲は冬になるとストーブを焚くそうですが(まだ隣町では冬を経験していない私です)、極端なことを言えば、火鉢でなくともストーブカフェでもいいのかもしれません(ちなみに隣町のストーブは丸いストーブです)。要はその空気感。火があって、囲む人がいて、くつろぎを感じられる、そういう空間。

夏目漱石の小説「火鉢」に、銭湯から帰ってきたら火鉢に新しい炭が熾してあって、蕎麦湯が出てきた…って場面があるのですが、風呂上がりのさっぱりした心持ちと、熾したての炭の黒赤の鮮やかなコントラストと、そば湯の清浄な味。ホッとできる温かさなのだけど、清々しい…(「空飛ぶ火鉢vol.1」に掲載してます)、そんな雰囲気を再現できたら最高です!

七輪を使った焼き物の会をイベントとしてやるのはもちろんありです。しかしその場合は最高の調理器具である七輪の特徴が生きる「炭火で焼く最高の美味しさ」を提供したい。これまでにプリップリの原木椎茸を焼く会やペリカンのパンを焼く会をやったりしているのはそういうことなんです。

隣町珈琲夜の部、バー火鉢なのかクラブ火鉢なのか、火鉢カフェなのか、火鉢茶屋、火鉢酒場、火鉢屋、それとも火鉢クラブなのか…。いまいちど、コンセプトを再考してみようと思います。

今夜も営業日ですが、とりあえず今日は火鉢をひとつ持ってってみようかな…。
火鉢をひとつ置くことで何が起こるか…。
でも、テーブル席の喫茶店。どこに火鉢を置くかも問題だ。
よろしければ、ぜひお店においで下さい。


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